ぽたり途中で茶の旅

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二代目林家三平師匠の『笑点』降板に見るキャラ付けの怖さについて

本人が、もっと修行をして出直すと言っているのであるから、才能が他のメンバー対比で劣っていたという結論となって仕方がないのであるが、他のメンバーとの息が合わなかったのは、キャラ付けに失敗したからということも考えられなくもない。弁護する視点に立てば、笑点の大喜利向けの落語家ではなかったのに大喜利をさせたことが過ちだったということにならないかな。母親が口を挟んで押し込んだとか色々見たけれど、まあ、噺家としてそんな話が出るだけで恥ずかしいということで。それを逆手に取って売るとか余計に恥ずかしい。

落語家は大喜利ができないといけないわけではない

落語家は落語という芸を磨けば良いのであって、大喜利という瞬発力の必要な芸は別な才能のもの。そうであるのに、大喜利の自分の能力を見極めないで大喜利メンバーというオファーを受けたことが三平師匠の過ちなのではないかな。まあ、大喜利に出れば全国区でかつ毎週顔を売ることができるので、ビジネス視点では美味しい話には違いないけれど。席が限られているのだから余程の強者でないと、運や金が強いだけではこうなるのは仕方ないかと。

周りとの関係

大喜利の追加メンバーは、他のメンバーが何年も固定でやってきた中に入るのだから、上手く入ることができれば盛り立ててもらって従来メンバーの中にソフトランディングできたのだろうが、それに失敗したら、やはり茨の道だというのは避けられないだろう。これは想像に難くない。で、三平師匠はそれに失敗したと。

"若手キャラ"の悲劇

後から入ってきたメンバーであるし、童顔なので"若手キャラ"ポジションで行こうとしていたようだけれど、実際は現在51歳。この年で若手フレッシュキャラはキツい。母や妻の話題も、自立できていない感が漂ってしまい、何というか実年齢に対して痛いキャラ付けになる。故桂歌丸師匠は鬼嫁を恐れるキャラ付けがあったので家族ネタというだけでは笑点でマイナスになる訳ではないが、童顔と出自の良さ、母親と妻が関わるエピソードの内容から甘えた坊ちゃんキャラになってしまった。しかしやはりアラフィフ男性にこのキャラはキツい。世間では良い大人であるはずの年齢の男が、坊っちゃんキャラを演じることに見ている方が苦々しくなってしまう。落語家なのだからそこも上手く演じなければということかもしれないが、毎週これをテレビでやって維持するのは演じる方も見る方もキツい。

テレビ局のニーズ

40代以下の視聴者が自分より年上の三平師匠がフレッシュな若手ネタを演じることにピンとくるわけはなくて、これでは局が狙う視聴者の若返りには貢献しない。40〜50代は公私共に責任が重くなる世代であり、三平師匠が演じるキャラとは年代におけるイメージの乖離が激しい。同年代はまだしも、40歳以下の者たちには、フレッシュさ、若返りは感じない。結局、若さのアピールだけで現実に若くなければ視聴者の若返りには貢献できないとなったのではないかな。それどころか、若く無いのに若さアピールすることがマイナスに働いた可能性さえある。

自ら降板というのは現状最善の形

潔さというか自ら決断した感じが出ており、最高の降板ではないが、今の三平師匠にとって最善の形であろう。形だけでも本人主導の形を取っているから。しかしそうは言えども都落ち感は否めない。笑点メンバーは選ばれることイコール、生涯ポジションを確保したと考える人が大多数だと思うので、自ら離脱するのはやはりキツい。

桂宮治師匠45歳

三平師匠と交代して入ったのは桂宮治師匠。45歳と年齢は三平師匠が入った頃と変わらないが、社会人経験者という異色の出自であることで、自立したキャラになるとは思う。坊っちゃんと年上の対比ではなく、中年と老人の世代ギャップというキャラ付けで入るのだろうか。元々三平師匠もその様な位置付けであったはずで、プラスアルファの坊っちゃんキャラが視聴者の若返りを阻んだのなら、完全に世代対立キャラをプラスアルファに入れる作戦で挑むのは良さげであると思う。それがどういう結果になるかはともかくとして、新しい風を吹き込むことにはなる。宮治師匠は、世代交代の先鋒として期待されているはずだから、三平師匠の屍を超えて高みを目指さねばならない。大きなチャンスに恵まれたと同時に大きな壁でもある。これが越えられない大きすぎる壁だったか否かは、今度は5年もかからず結果が出るだろう。